- 日本の商談は、なぜ四半期ちょうどぶんずれることが多いのですか?
- 日本企業の多くが4月〜3月の年度で動いているため、グローバルのQ4スプリントがバイヤーにとっての年度の真ん中に着地し、しかも前の秋に固めた予算に向けて打たれているからです。決断の自然な置き場所は3月の期末になります。HQから見て停滞に見えるものは、構造的に決められる時期へ商談が移っているだけ、ということが多いのです。
- 日本の営業カレンダーで何を変えればいいですか?
- 予算の会話を、売りたい年度の前の秋に移すこと。12月ではなく3月を勝負どころとして扱うこと。そして相手が動けない期限に値引きを使わないこと。案件ごとの期末は早い段階で聞いておくべきです。質問1つで、計画の順番が変わります。
この記事の要約
日本の商談が11月には温まっていて、12月に口頭の合意が取れ、そこから2か月静かになり、3月に11月と同じ条件で署名される。HQはこれを「迷い」や「担当者が弱い」「価格の問題」として処理する。実際はたいてい暦の話だ。日本企業の多くは4月から3月の年度で動いているので、グローバルのQ4スプリントはバイヤーの年度の真ん中に着地する。しかもその予算は前の秋に組まれ、冬のあいだに固まっている。相手の12月には決断を強制する理由が無く、3月の期末には非常に大きな理由がある。打つべき手はQ4にもっと圧をかけることではなく、予算の会話を前の秋に移し、3月を本来のクロージングとして扱うことだ。
この記事の要点
- 日本企業の多くは4月から3月で動いている。自分のQ4は相手のQ3。停滞に見えるものの半分は暦のズレ。
- 4月始まりの予算は、前の秋に決まっている。春に提案する時点で、その金額は数か月前に他へ割り当てられている。
- 12月に決断の強制力は無く、3月には大きい。自社の期末に向けた値引きは、相手に「動けないことを急げ」と言っている。
- 3月へのずれは、停滞ではなく前進のことが多い。決めるのが構造的に自然な時期へ、商談が移動している。
- 案件ごとに期末を聞く。メール1行で済み、予測日程・値引きの時期・1月の静けさの読み方が全部変わる。
四半期ちょうどぶん、ずれた商談
日本での事業が1〜2年目のうちに、必ず一度は見る形があります。秋のあいだに商談が積み上がる。11月にはバイヤーも前向きで、技術評価も終わり、担当者は進めたいと言っている。ところが12月に決まらない。かといって何かが壊れたわけでもありません。反対意見も、競合も、値引きの要求も出てこない。1月と2月は、読みようのない静けさが続く。そして3月に、11月に話した条件のまま署名される。
関係者はそれぞれ説明を用意します。担当者の役職が足りなかった。この国はプロセスが遅い。12月にもっと値引きしておくべきだった。ときにはそのどれかが当たっています。ただ多くの場合、商談はバイヤーの年度が要求したとおりに動いていて、驚いていたのはHQだけです。
日本は違う「年」で動いている
日本企業の多くは、4月1日から3月31日の会計年度で動いています。9月末が中間期末です。全社がそうではなく、外資系や小売の一部は12月やそれ以外の月末ですが、案件ごとに確認できていないなら、これを前提に置いておくべき既定値です。
これをグローバルの営業カレンダーに重ねると、ズレがはっきりします。10〜12月のQ4スプリントは、バイヤーにとってのQ3——年度の真ん中で、期限が何もついていない時期です。1〜3月のQ1は相手のQ4で、開いている案件を本当に片付けなければならない唯一の四半期です。緊急性が最も低い時期に最大の圧をかけ、相手の緊急性が最高になる時期にちょうど力を抜いていることになります。
ズレを一行で言うと:自分の期末スプリントは相手の年度の真ん中で、相手の期末スプリントは、自分がQ4の疲れを取っている四半期にある。
予算は、話し始める前に決まっていた
暦のズレは、見えているほうの半分です。もっと高くつくのは予算のほうです。
4月に始まる年度の支出は、たいていその前の秋に組み立てられ、冬のあいだに固まります。各部署が要求を作り、それが集約され、年度が始まる時点では数字がほぼ決まっている。日本に売る側にとって、これは素っ気ない意味を持ちます。春になって初めて価格を出したなら、それは自分が来る数か月前に他へ割り当てられた予算を求めているということです。
「静かになった」日本の商談で実際に起きているのは、これです。バイヤーは興味を失ったのではなく、自社の予算にあなたの費目が存在できる次の窓を待っている。誰もそれを口に出さないのは、相手側の全員には自明であることと、口に出すと断りのように聞こえてしまうからです。
12月の値引きが何も動かさない理由
だから、あの何も動かさない値引きの話になります。期限付きの価格は本物の道具です。待つことにコストを付けて、意向を決断に変えられる。ただしそれが効くのは、バイヤーがその期限の中で決められる場合だけです。
同じ値引きを12月の日本のバイヤーに向けると、相手の穏やかな四半期に緊急性を持ち込み、すでに割り振られた予算に向けて、急ぐ理由のない社内承認を加速してくれと頼んでいることになります。魅力が無いのではありません。使えないのです。しかも、後で使いたい原資を先に減らしています。
同じ値引きを2月に、相手の3月期末に向けて出すと、承認者に「いま動く理由」が実際に存在する唯一の時期に着地します。同じ提案でも、受け取る側の計算がまったく変わります。
日本のカレンダーを組み替える
製品を変える必要も、提案を変える必要もありません。動かすのは3つです。
予算の会話を「秋の会話」にする。来年4月に始まる年度で買われたいなら、相手の計画がまだ開いているうち——おおよそ9月から12月、購入そのものよりずっと手前——に、推してくれている担当者の手元に数字が要ります。つまり、30日で失効する見積ではなく、要求書に載せられる年額を渡すということです。
3月を「残り物」ではなく本番のクロージングとして扱う。自社の暦がQ4明けで力を抜けと言ってくる1月と2月に、いちばん手厚い支援が当たるように人員を組む。そこが相手の期末への助走で、商談が実際に動く場所です。
すべての案件で、期末がいつかを早めに聞く。メール1行です。その答えで、予測の日付、値引きの時期、そして1月の静けさが危険信号なのかまったく普通なのかが変わります。ずれた商談から推測して学ぶのは、高い授業料です。
見落としているサイン
直近2年の日本のパイプラインを、成約日だけ見て振り返ってみてください。勝率でも金額でもなく、実際に署名された月だけです。それが3月に集まり、次に9月あたりに固まっているなら、バイヤーはずっと自分たちの暦で動いていて、予測だけがこちらの暦で走っていたということです。「ずれた」商談は全部、意味のあるほうのスケジュールに対しては予定どおりに着地していました。
居心地の悪い言い方をすると、1月〜12月の年で組んだ日本の予測は、毎年、予測できる方向に外れます。そして毎回それが実行の問題のように見えます。Japan Readiness Checkは、まさにこの種の構造的なズレ——成績不振に見えて、実際は時期の誤りであるもの——を洗い出します。
よくある質問
日本の会計年度はいつからいつまでですか?
多くの日本企業は4月1日から3月31日で、9月末が中間期末になります。ただし全社ではありません。外資系企業や小売の一部は12月やそれ以外の月末を採用しているので、案件ごとに確認するのが確実です。とはいえ、確認できていない状態で計画を組むなら、慣れ親しんだ1月〜12月よりも4月〜3月を前提に置いたほうが外しません。
12月に決まりそうだった商談が、なぜ3月に署名されるのですか?
12月は相手にとって年度の真ん中で、期末ではないからです。日本のバイヤーの12月には、決断を強制する構造的な理由がほとんどありません。しかも使う予算は数か月前に決まっています。3月は実際の期末で、残っている予算を使い切る圧力と、開いている案件を片付ける圧力がここに集中します。12月から3月へのずれは、勢いを失っているのではなく、決めるのが自然な時期に商談が移動していることが多いのです。
期末値引きは日本でも効きますか?
自社の暦と揃っている市場ほどには効きません。理由は文化ではなく構造です。値引きが緊急性を生むのは、相手が自分の設定した期限の中で動ける場合だけです。自分の12月が相手の年度の真ん中で、予算の枠がすでに割り振られているなら、その期限付きの提案は「動けないことに急げ」と言っていることになります。同じ値引きを相手の期末に向けて出すと、まったく違う受け取り方になります。
来年度の予算の話は、いつすればいいですか?
感覚よりかなり早めです。4月に始まる年度の予算要求は、その前の秋に組み立てられ、冬のあいだに固まっていくのが一般的です。つまり春になってから金額を持ち込むと、すでに他へ割り当てられた予算を求めていることになります。有効なのは、購入そのものが数か月先であっても、相手の計画がまだ開いているうちに、推してくれている担当者の手元に価格と根拠を渡しておくことです。
スタートアップや外資系の日本法人にも当てはまりますか?
そこまで厳密には当てはまりません。スタートアップや外資系の日本子会社は、親会社の暦で動いていたり、支出の承認ゲートがずっと少なかったりします。この傾向がはっきり出るのは、国内の確立した企業と、正式な予算承認を通るエンタープライズ案件です。とはいえ、聞くコストは質問1つ分です。ずれた商談から推測するのではなく、案件ごとに期末を早い段階で聞いてしまうのが早道です。